2022-01-01から1年間の記事一覧
蜂須賀虎徹を無事顕現させたあと,まだ手続きがあるようで,私はまた洋館にいた。 「生前,眼鏡をご愛用だったとご令弟様より伺いました」 眼鏡は愛用していたものの不便だったことと,そもそもの仕様なのか,今は特に眼鏡をかけることなくここに存在してい…
最上階にある城主の部屋から大広間までは,別棟になっていることもあり,それなりに距離がある。城主の部屋から大広間に着くまでの間も,外の蝉は必死に鳴いていた。 いま,私は生死のはざまにいるのかもしれない。木にしがみついて必死に鳴いている蝉のよう…
「お待ちしておりました,審神者様」振り返ると,そこには立派な城壁と門があるだけだった。「残念ながら,その門を開いても,もう"戻る"ことはできません」「私の顔は,どう,見えていますか」「私どもには審神者様の…素体と申し上げましょうか…お顔が見え…
目の前の夥しい数の顔面にゾッとする。どれもあまりにも綺麗なのだ。顔面をタップして目の前を見れば,タップした顔が目の前にある。正確には,「私の顔がそうなっている」と言うべきか。 「これにします」 何度目か分からない作業のあと,私は目の前のお役…