バラと藤とかすみ草

こじらせるだけこじらせたヲタク女がただ気まぐれに書きなぐるだけ。だいたいR18です。ご連絡はTwitter:@sawa_camelliaへ。

2022-01-01から1年間の記事一覧

おきみやげ

蜂須賀虎徹を無事顕現させたあと,まだ手続きがあるようで,私はまた洋館にいた。 「生前,眼鏡をご愛用だったとご令弟様より伺いました」 眼鏡は愛用していたものの不便だったことと,そもそもの仕様なのか,今は特に眼鏡をかけることなくここに存在してい…

生死のはざま

最上階にある城主の部屋から大広間までは,別棟になっていることもあり,それなりに距離がある。城主の部屋から大広間に着くまでの間も,外の蝉は必死に鳴いていた。 いま,私は生死のはざまにいるのかもしれない。木にしがみついて必死に鳴いている蝉のよう…

「あの世」の始まり

「お待ちしておりました,審神者様」振り返ると,そこには立派な城壁と門があるだけだった。「残念ながら,その門を開いても,もう"戻る"ことはできません」「私の顔は,どう,見えていますか」「私どもには審神者様の…素体と申し上げましょうか…お顔が見え…

「この世」の最後

目の前の夥しい数の顔面にゾッとする。どれもあまりにも綺麗なのだ。顔面をタップして目の前を見れば,タップした顔が目の前にある。正確には,「私の顔がそうなっている」と言うべきか。 「これにします」 何度目か分からない作業のあと,私は目の前のお役…